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英検®︎準1級対策について(藤本)

英語学習 英検®︎準1級対策について(藤本)

こんにちは。藤本です。

今日は中高生向けのエントリです。英検®︎準1級対策について書きます。

内容を書く前に是非とも言っておきたいことがあるので、まずは指導者の方に向けてです。

インターネットには英検®︎準1級対策の情報はいろいろと落ちていますね。僕は仕事柄けっこう見ているのですが、試験を自ら受けて経験として知っている僕からすると、「お前絶対受けたことないだろ」と突っ込みたくなるものがけっこう多い気がします。多分ですが、試験の形式もあんまり知らないまま、適当によくある学習法を引っ張ってきて書いたようなものがわりと多いです。これを読んでいる指導者の方で、そういうことをしたことがある方はぜひ反省していただきたいと思います。英検®︎の需要は高くなっていますが、語るなら自ら受けてからにしましょう知らないものを語るのは不誠実なのでやめましょう

それでは本題に入ります。ここからは中高生に向けてです。このエントリで読者対象とするのは、「英検®︎2級に受かり、これから準1級の学習を始めたい」という方です。また、以下に記載する内容は、「特徴的な試験形式への対応力をつける」という意味での対策ではなく、「英語力をそのものをつける」という意味での対策です。簡単に受かろうというのは趣旨と違うので、困難を避けたい方は、これ以降読む必要はありません。本当に受かりたくて、実際にやる覚悟のある方だけ読んでください

でははじめに、2級をすでに合格された生徒さんにとってまずいちばん取り組みやすいのはどの技能かを考えてみましょう。

準1級は全体的に語彙や構文の難易度が高いのはご存知の通りです。第1問の語彙問題はおそらくほとんど知らない単語で構成されているでしょうし、リーディングも語彙・構文ともに高校上級レベルで、知識にないものが多いと思います。また、内容自体も抽象的・専門的なものが入ってくるため、読みにくさは2級の比ではないと思います。ライティングは言わずもがなでしょう。新形式の要約は、本文の表現をそのままパッチワーク的に使って書いてしまう方が多いのではないでしょうか。

英語は知識依存で、「知っていればできる、知らなければできない」ですから、基本的に知識量の乏しい2級合格水準の段階では、過去問には太刀打ちできないと思います。過去問に取り組む前に、知識補充という準備期間が必要です。

しかし、その中で、ひとつだけ2級合格水準でも与しやすい技能があります。それがリスニングです。というのも、一度スクリプトをざっと読んでいただければわかると思うのですが、実はリスニングは他の技能ほど難しい語彙や構文が使われていません。語彙的には2級合格水準までのものが大半です。ですから、過去問学習で言うと、ここを使って力を伸ばしていくのがいちばんやりやすいです。

リスニングは3つのパートに分かれます。パート1は30〜40秒程度の対話、パート2は1分10秒程度のナレーション(自然科学や建築・アート、歴史的事象など、多少専門的なトピック)、パート3は50秒〜1分程度で、与えられたシチュエーションに対する選択肢紹介のアナウンスが題材です。

どれを使っても良いのですが、いちばんやりやすいという観点に立つと、パート1を使うのが良いでしょう。話が具体的なので状況が想像しやすいのと、単純に時間が短いからです。これを使ってトレーニングをしましょう。トレーニングの目的は「自分のストレスポイントを発見する」です。問題もついていると思いますが、そちらは解かなくて良いです。放っておきましょう。

音源とノートを用意してください。さあ、音源をまず1回流してみましょう。漠然とで良いので、ただじっと聞いてみます。どうですか? どんな英語が聞こえますか? どのような意味の対話がなされましたか? 僕の経験からすると、今回読者対象に設定した方だと「ちんぷんかんぷん」な方が多いのではないでしょうか。2回、3回と聞いてみてください。少しは解像度は上がるかもしれませんが、大きな違いはないと思います。相変わらず聞こえないところは聞こえない。

さて、ここからが耳をよく使うところです。音を適当な箇所で小分けに止めて、そこで聞こえた部分をノートに書き取りましょう。聞き取れなかったら、アルファベットじゃなくても構いません。ひらがなやカタカナでOKです。印象的にどんな音だったかを必ず書きましょう。小分けにする感覚は長くても3秒程度にすると良いです。あまり長いと記憶できませんからね。聞き取れない箇所は何度も何度も根気よく聞いてください。とにかく音を文字に転写していく作業です。

ここまでの作業をDictation(ディクテーション)と言います。昔からある手法で、やったことがある方も多いと思います。かなり大変な訓練法ですが、だいたい30秒程度しかありませんから、8〜12分あればできると思います。

さて、全部書き取りができたら、スクリプトと照らし合わせます。赤入れをしてきましょう。その際に、ぜひ音を聞きながら赤入れを行なってください。頭から音声を流し、スクリプトを見て、実際にそう言っていることを確認し、自分のノートに赤を入れます。実際にそう言っていることが実感として分かるまで、何度も聞いた方が良いです。3〜5分くらいを目標にすると良いでしょう。

ここで、この作業をわざわざやっている目的を振り返ります。目的は何でしたか? そうです。「自分のストレスポイントを発見する」です。つまり、「なぜ聞き取りのミスが生じたか、何を知っていればミスは生じなかったか」を反省するのです。音を聞き取れない原因にはどんなものがあるでしょうか?

 

1. 英語の音を知らない

日本語と英語は音が違います。日本語にはないが英語にはある音があります。またはその逆も。従って、音の質感そのものを知らなければ、その音は聞き取れません。知識として知っているのではなく、実感としてその音を知っているかどうかが問題になります。たとえば、rの音がどのようなものが知らない人は、rが聞き取りにくいです。また、thの音がどのような音かを知らない人は、その音は聞き取れないでしょう。

 

2. 英語の音の変化に馴染みがない

1.に関連するのですが、英語のひとつひとつの音は知っていても、その音がある程度のスピード感のある発話の中で、ひとつの語、あるいは語が結合したユニットの中でどう聞こえるかを知らない場合は聞き取りができません。たとえば、an appleは「ぁねぁぽぅ」と聞こえますね。anとappleを個々にゆっくり発音したときの模範的な音を知っていても、全体でどう発話されるかを知らなければ(馴染みがなければ)やはり聞き取りは難しいです。

 

3. 英語の音同士に混同が生じている

たとえば、ディクテーション時にmouthを「マウF」と書いたとします。この場合、明らかにthの音とfの音を混同しています。thの個別の音を知っていてもこういうことが起こりえます。どちらも口のある部分で摩擦をさせて作られる音なので、混同しやすいです。このように、何か近いと感じる音があり、そこでミスが生じている場合があります。混同を起こす音は個人差があるように感じます。自分の癖を見つけるという意味で、ここはチェックをすべきです。

 

4. 英語の単語や表現を知らない

至極当たり前ですが、知らない単語や表現は聞き取ることが難しです。これは知っていく(=覚えていく)しかありませんが、大事なのは音も一緒に覚えるということです。

 

5. 表現・語法・文法が活用できていない

音が聞こえていなくても何と言ったか分かるケースがあります。それが表現・語法・文法の活用です。たとえば、I was wonderingと聞こえたらその瞬間すぐに「if you couldが続くのかな」と思えるかということです。I was wondering if you could do ...「...してもらえませんか?」(丁寧な依頼)という表現を知っていればそういう対応ができます。あるいは、Never in my lifeときたら、「have I seenとかhave I feltとかがきて、soとかthisとかmoreなどが絡むかもな」と思えるかどうかです。こう聞くとハードルが高そうに感じるかもしれませんが、ディクテーションしたあとのノートを見ると、けっこう「文法的にありえない」という箇所が見つかると思います。たとえばbe動詞のあとに一般動詞があるとか、主語がheなのに述語がmakeになっているとか。そういう初歩的なレベルのミスは自分で発見することが大切ですから、赤入れをする前にチェックして、「おかしいな」と思える感覚を身につけましょう。

 

たぶんまだまだ原因分析はあるとは思いますが、上記のあたりはぜひチェックしたいところです。「なぜ間違えたか」を自己分析する作業こそ、伸び代を実際の伸びに変えるところだと思いますから、ここをおろそかにしないようにしましょう。漫然と音を聞き流すよりも効果があるはずです。

そして最後に、音読をしましょう。音読の仕方はちょっと長くなりそうなので別エントリにします。以下のことに注意してください。

 

1. 音源の真似をする

発音を良くするというよりも、実際に発話された音への実感値をつけるためです。「単に知っている」から「聞き分けられる」にシフトするためです。もうひとつ、音源のリズムやイントネーションも真似してください。英語の感覚が身につきます。

 

2. 最終的に覚える

単に読むだけではもったいないです。口からスラスラ出るように練習してください。暗唱です。そこで覚えたものが自分の英語をつくります。正しく、自然な表現を書いたり話したりすることにもつながります。分かりやすく言えば、リーディングやライティングなどその他技能の対策にもなりますよ、ということです。

 

以上が英検®︎準1級のリスニングを用いた学習法です。厳しいと思うかもしれませんが、絶対に効果があります。そしてリスニングは毎日続けていればいちばん伸びるのが速いです。リーディングやスピーキングよりも圧倒的に速いです。(自分の経験的に言っていますが、まず間違っていないと思います。もし科学的に違うなどあったら教えてください。)

ひとりでやるのが難しいと感じた方は、ぜひ一緒にやりましょう。自走できるようになるまで全力サポートいたしますので、吉田塾渋谷校の体験にお越しください。または、9/14(土)に開講する「英検®︎準1級対策講座」にぜひお申し込みください。ではまた。


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